TOP > ブログ > アルミ材質の種類と特徴|1000系〜7000系とアルミ引抜加工を解説
アルミ加工
2026/10/14

アルミ材質の種類と特徴|1000系〜7000系とアルミ引抜加工を解説

ブログ

アルミニウムは、軽さ、耐食性、熱伝導性、加工性などに優れ、輸送機器、建築、電気・電子機器をはじめとする幅広い分野で利用されています。ただし、「アルミ」と呼ばれる材料は一種類ではありません。純度や添加元素の違いによって1000系から7000系までに分かれ、強度、耐食性、溶接性、切削性などが異なります。

材質を選ぶときは、合金系だけで判断せず、具体的な合金番号、調質、形状、必要精度、使用環境まで確認することが大切です。本記事では、1000〜7000系の一般的な特徴と用途を整理したうえで、アルミパイプや棒の寸法・形状を整えるアルミ引抜加工について解説します。

なお、合金系によって引抜加工の基本的な方法が変わるわけではありません。合金系は材質の特性を示す分類であり、引抜加工は素材をダイスに通して所定の寸法・形状に仕上げる加工方法です。

1. アルミ材質とは
2. アルミ材質1000〜7000系の特徴一覧
3. アルミ材質を選ぶときのポイント
4. アルミ引抜加工とは
5. アルミ引抜加工のメリット
6. 日本伸管が取り扱う主なアルミ材質
7. まとめ|アルミ材質と引抜加工は要求仕様から検討する

アルミ材質とは

一般にアルミ材質と呼ばれるものには、純アルミニウムとアルミニウム合金があります。純アルミニウムはアルミニウムの純度が高く、耐食性や電気・熱の伝導性に優れる一方、強度はアルミニウム合金より低い傾向があります。

アルミニウム合金は、銅、マンガン、シリコン、マグネシウム、亜鉛などを加え、強度や加工性などを調整した材料です。添加する元素とその割合によって、適した用途や加工上の注意点が変わります。

純アルミニウムとアルミニウム合金の違い

純アルミニウムは、導電材、放熱材、容器、装飾品など、耐食性や伝導性、成形性を生かす用途に向いています。一方、アルミニウム合金は、強度や耐摩耗性などを補うことで、機械部品や構造材にも利用しやすくした材料です。

どちらが優れているかではなく、製品に必要な強度、重量、耐食性、表面処理、接合方法などを基準に選びます。

アルミ材質の4桁の番号が表すもの

展伸用アルミニウム材は、A1050、A5052、A6063などのように、アルファベットのAと4桁の数字で表されます。先頭の数字は合金系統を示し、1000番台は純アルミニウム、2000番台以降は主な添加元素によって分類されます。

同じ番台でも合金番号によって成分や特性は異なります。また、A6063-T5の「T5」のように、加工硬化や熱処理の状態を示す調質記号が付くことがあります。材料選定では、番台だけでなく合金番号と調質まで確認しましょう。合金番号や調質については、「アルミニウムの種類」でも詳しく紹介しています。

アルミ材質1000〜7000系の特徴一覧

1000〜7000系の一般的な特徴は、次のとおりです。実際の物性は、個別の合金番号や調質、製品形状によって変わるため、表は初期検討の目安としてご覧ください。

番台 主な成分・分類 主な特徴 代表的な用途例
1000系 純アルミニウム 耐食性、導電性、熱伝導性、加工性に優れる。強度は比較的低い 放熱材、電気部品、容器、装飾品
2000系 Al-Cu系 強度と切削性に優れる。耐食性には配慮が必要 航空機部品、輸送機器、機械部品
3000系 Al-Mn系 純アルミニウムの耐食性を保ちながら強度を高めている 缶、日用品、住宅外装、熱交換器部材
4000系 Al-Si系 融点が比較的低く、耐摩耗性や耐熱性を生かせる材質がある 溶加材、ろう材、ピストン
5000系 Al-Mg系 強度、耐食性、溶接性、表面処理性のバランスがよい 船舶、車両、構造材、機械部品
6000系 Al-Mg-Si系 中程度の強度と耐食性を備え、加工性にも優れる 建築材、自動車部品、各種形材・管材
7000系 Al-Zn-Mg系など アルミニウム合金の中でも高い強度を得やすい 航空機構造材、スポーツ用品、高強度部品

1000系|純度が高く、耐食性・導電性に優れる

1000系は、純度99%以上の純アルミニウムに分類されます。代表的な材質にはA1050、A1070、A1100があります。加工性、耐食性、溶接性、電気・熱の伝導性に優れますが、合金系と比べると強度は低めです。

反射板、装飾品、容器、送配電材、放熱材などに利用されます。高い強度よりも、伝導性や耐食性、成形のしやすさを優先する場合に検討される材質です。

2000系|強度と切削性に優れる

2000系は、主に銅を添加したAl-Cu系のアルミニウム合金です。A2017やA2024はジュラルミン系として知られ、機械的性質や切削性に優れています。

航空機部品、輸送機器、機械部品など、高い強度が必要な用途に利用されます。一方、銅を含むため、ほかの合金系より耐食性が低い傾向があります。使用環境に応じて、表面処理や防食方法を含めて検討する必要があります。

3000系|耐食性を保ちながら強度を高めた材質

3000系は、主にマンガンを添加したAl-Mn系の合金です。代表材質にはA3003やA3004があります。純アルミニウムの耐食性を大きく損なわず、強度を高めている点が特徴です。

飲料缶、日用品、住宅外装など、幅広い用途に使われます。A3003は熱交換器部材や配管部品などでも採用されています。

4000系|融点や耐摩耗性に特徴がある

4000系は、主にシリコンを添加したAl-Si系の合金です。シリコンの添加によって融点が低くなる性質を生かし、A4043などは溶加材やろう材に利用されます。

また、A4032のようにシリコンを多く含む材質は、耐摩耗性や耐熱性が求められるピストンなどに使われます。同じ4000番台でも用途が異なるため、個別の合金番号を確認することが重要です。

5000系|強度・耐食性・加工性のバランスがよい

5000系は、主にマグネシウムを添加したAl-Mg系の合金です。代表的な材質にはA5052、A5056、A5083があります。強度と耐食性に優れ、溶接性や表面処理性も比較的良好です。

船舶、車両、構造材、機械部品などに広く使用されます。A5052は板材などで汎用性が高く、A5056は切削性やアルマイト処理後の外観を生かす部品にも利用されます。

6000系|強度・耐食性・加工性を兼ね備える

6000系は、マグネシウムとシリコンを添加したAl-Mg-Si系の合金です。代表的な材質にはA6061、A6063があります。中程度の強度、良好な耐食性、加工性を兼ね備え、建築材、自動車部品、機械部品などに使用されます。

A6063は押出加工性や表面処理性に優れ、サッシなどの形材や各種管材に広く使われています。必要な強度や調質、後加工の内容に応じて、A6061などとの使い分けが必要です。

7000系|アルミニウム合金の中でも高い強度を持つ

7000系は、主に亜鉛とマグネシウムを添加したAl-Zn-Mg系、または銅を加えたAl-Zn-Mg-Cu系の合金です。A7075などはアルミニウム合金の中でも高い強度を持ち、航空機構造材、機械部品、スポーツ用品などに利用されます。

高強度である一方、材質や使用環境によっては耐食性や応力腐食割れへの配慮が必要です。強度だけで決めず、使用環境、表面処理、接合方法まで含めて選定します。

アルミ材質を選ぶときのポイント

アルミ材質は、合金系の一般的な特徴だけでなく、製品に求める機能と製造条件を整理して選びます。設計・調達の初期段階では、次の項目を加工会社へ共有すると検討が進みやすくなります。

必要な強度と重量

軽量化だけを目的にアルミを選んでも、必要な強度を満たせなければ、肉厚を増やす必要があります。引張強さや耐力だけでなく、荷重の方向、繰り返し負荷、使用温度、製品寿命なども確認します。

耐食性・溶接性・加工性

屋外、海水周辺、薬品を扱う環境では耐食性が重要です。溶接、切削、曲げ、アルマイトなどの後加工を行う場合は、それぞれとの相性も確認します。

たとえば、強度に優れる材質でも、溶接や表面処理を含む製造工程全体には適さない場合があります。完成部品までの工程を見通して選ぶことが、品質とコストの安定につながります。

用途、形状、寸法精度

同じ材質でも、板、棒、管、形材では入手性や加工方法が異なります。特にパイプでは、外径、内径、肉厚、真円度、曲がり、長さ、表面粗さなど、必要な仕様を明確にします。

既存規格で対応できない寸法や薄肉形状、高い寸法精度が必要な場合は、押出材を引抜加工で仕上げる方法が選択肢になります。

材質だけで決めず、加工方法と調質も確認する

材料の特性は、合金番号だけでなく、加工硬化や熱処理の状態を示す調質によっても変わります。設計図面では、材質、調質、寸法、公差、表面処理を分けて指定し、調達先や加工会社と認識を合わせることが重要です。

アルミ引抜加工とは

アルミ引抜加工とは、アルミのパイプや棒をダイスと呼ばれる金型に通し、引っ張りながら所定の寸法・形状に仕上げる塑性加工です。素材を削って形を作る切削加工とは異なり、材料を変形させて外径、内径、肉厚、形状などを整えます。

引抜加工では、一般に押出加工で作られた素材を二次加工します。番台によって基本的な加工方法を変えるのではなく、求める寸法、形状、精度、材質の状態などを踏まえて、金型や工程条件を設計します。

押出材を二次加工して引抜管を製造する流れ

引抜管は、概ね次の流れで製造します。実際の工程は、製品形状や要求仕様によって異なります。

  1. 押出加工で作られた素管を用意する
  2. 引抜機でつかむため、素材の先端を細くする
  3. 潤滑剤を使用し、素材をダイスに通して引き抜く
  4. 必要に応じて熱処理、矯正、切断などを行う
  5. 寸法や外観を検査する

製造工程の詳細は、「引抜管が出来るまで」でイラストとともに紹介しています。

押出加工との違い

押出加工は、加熱したアルミ素材を金型から押し出し、長い形材や管材を成形する加工です。引抜加工は、押出材などをダイスに通して引っ張り、寸法精度や表面、形状をさらに整える二次加工に当たります。

押出加工は複雑な断面形状の素材を効率よく量産することに適し、引抜加工は薄肉化、高精度化、長尺化などに強みがあります。両者は競合する加工方法ではなく、押出で素形材を作り、引抜で仕上げるように組み合わせて使用されます。詳しくは「アルミの引抜と押出、加工方法の違いとは?」をご覧ください。

アルミ引抜加工のメリット

アルミ引抜加工は、パイプや棒の寸法、形状、表面を整え、高精度な部品素材を効率よく製造したい場合に有効です。ただし、実現できる寸法や公差は、材質、形状、長さ、ロット、後加工などによって変わります。

高い寸法精度を実現しやすい

素材をダイスに通して仕上げるため、外径、内径、肉厚などのばらつきを抑えやすくなります。切削加工が難しい長尺パイプの内径精度を整える方法としても利用できます。

当社では、製作可能例として寸法精度±0.05mm以下、肉厚0.5mmの引抜加工をご案内しています。すべての材質や形状で同じ数値を保証するものではないため、具体的な仕様は個別に確認が必要です。

薄肉・長尺のパイプを製造できる

引抜加工は、パイプを薄肉化しながら外径や内径を整えることができます。軽量化や省スペース化が求められる部品に適しています。

当社の引抜加工では、引抜後の長さが約6mになる製作例もあり、必要な長さに切断できます。高精度・薄肉・長尺を同時に検討できる点は、引抜加工の大きなメリットです。

丸管だけでなく異形管にも対応できる

引抜加工は、丸パイプだけでなく、用途に合わせた断面形状の異形管にも利用できます。切削で断面全体を作る方法と比べ、材料ロスや加工工程の削減につながる場合があります。

ただし、開口部のある形状や非対称性が大きい形状など、引抜に向かない形もあります。形状を確定する前に、加工可否や公差について相談することが重要です。

引抜後の各種加工まで一貫して進められる

当社では、引抜後のプレス、切削、曲げ、アルマイト、組立てなどにも対応しています。引抜材を別の加工会社へ移送する工程を減らすことで、工程間の調整や品質管理をまとめやすくなります。

部品完成までの工程を早い段階で共有いただければ、引抜後の加工を考慮した材質、形状、寸法の検討が可能です。

日本伸管が取り扱う主なアルミ材質

当社では、アルミ引抜加工においてA1050、A3003、A5052、A5056、A6063を多く取り扱っています。これらは1000系、3000系、5000系、6000系に属し、それぞれ異なる特徴があります。

A1050・A3003

A1050は純アルミニウムで、耐食性、加工性、電気・熱の伝導性に優れます。A3003はマンガンを添加し、純アルミニウムの耐食性を生かしながら強度を高めた材質です。

強度よりも耐食性や伝導性を重視する場合はA1050、耐食性を保ちながら一定の強度も必要な場合はA3003が候補になります。

A5052・A5056

A5052とA5056はいずれもAl-Mg系の5000番台です。強度、耐食性、加工性のバランスに優れています。A5056はA5052よりマグネシウム量が多く、切削性やアルマイト処理後の外観を生かす用途にも使用されます。

同じ5000番台でも必要な強度、形状、後加工によって適した材質は変わります。

A6063

A6063はAl-Mg-Si系の6000番台で、押出加工性、耐食性、表面処理性に優れます。形材や管材として広く流通しているため、引抜加工の素管としても多く使用される材質です。

材質や寸法が決まっていない段階でも相談可能

アルミ部品の設計では、「軽くしたい」「薄肉にしたい」「内径精度を高めたい」といった要求が先にあり、材質や製造方法が決まっていない場合もあります。

その段階で、用途、荷重、使用環境、必要寸法、数量、後加工を共有いただくことで、材質と加工方法を一体で検討しやすくなります。既存図面がある場合は、現在の材質や公差、発生している課題もお知らせください。

まとめ|アルミ材質と引抜加工は要求仕様から検討する

アルミ材質は、1000〜7000系の分類によって一般的な特徴を把握できます。ただし、最終的な材料選定では、具体的な合金番号、調質、使用環境、後加工まで確認する必要があります。

アルミ引抜加工は、番台によって基本的な方法が変わる加工ではありません。押出材などをダイスに通して引き抜き、寸法や形状を高精度に仕上げる加工であり、薄肉・長尺パイプや異形管の製造に適しています。

当社は、アルミ引抜をコア技術として、素材調達から引抜、機械加工、アルマイト、組立てまで一貫して対応しています。アルミパイプや棒の材質、形状、精度でお困りの場合は、「アルミ引き抜き」のサービスページをご確認のうえ、製作・お見積もりについてお問い合わせください。

関連記事