お客様からのご要望
外内径を削らずに製品として使いたい。
そのため、『偏肉率1.35%以下』の高精度パイプ材が欲しい。
それがお客様の御要望でした。/p>
御要望は偏肉率だけでなく、 外径φ22×内径φ9に対し、外内径公差±0.02、 さらには外観部品となり、厳しいキズ管理が求められるパイプでした。
引抜加工では、基本的に偏肉率は材料の精度を引き継ぐものとなります。
例えは、外径φ50×肉厚t5の押出材の偏肉が0.2(偏肉率4%)としますと、
それを引き抜いて30×t3のパイプを製作した場合、
偏肉0.12(同じく偏肉率4%)となるのが私達の基本的な考えでした。
そこで、押出メーカーと、専用の材料開発から着手を行ないました。
試行錯誤の結果、お客様の御要望を満たす、「偏肉率1.35%以下」
で管理を行なうことが出来るようになりました。
材料側で偏肉率管理が出来たため、引抜加工では外内径の寸法や、取り扱いキズに注意し製作をすれば良いと、試作を進めていました。
ですが、出来上がったパイプを確認すると、偏肉率が2%を超える結果となってしまいました。
押出素材より、偏肉率が悪くなってしまったのです。
素材の偏肉率を引き継ぐと思われていた引抜加工工程も、
内径が小さく、厚肉の製品ではそのような前提も崩れてしまうことが判りました。
どうすれば素材の偏肉率のまま、引抜製品を作り出せるか、試行錯誤を行いました。
引抜加工は押出材を複数回引き抜く事により、最終形状を成形します。
1回目をどの位絞るか、引抜回数をいくつにするか、
最終引抜でどのくらいの加工率を加えるかなど、
様々な工程トライを行いました。
引抜加工は、外径金型(=ダイス)、内径金型(=プラグ)の
組み合わせで成形を行ないますが、
その金型の形状設計の見直しを行い、特殊形状の金型を製作しました。
偏った肉厚部分をマーキングし引抜後にどのような変化が生じるかの分析、
プラグを固定する心金(吊芯)の形状見直し、
金型への挿入角度の見直しなど、
細かな作業見直しも行ないました。
計21通りの条件トライを行いましたところ、
結果、製品で偏肉率1.35%を下回る精度を出すことに成功しました。
トライの一部写真
偏肉率以外の精度も、外内径寸法精度は、季節に応じ、異なる金型サイズを用いて高精度管理を行なっております。
また、外観部品であるため、キズの管理も徹底し、管理を行なっております。
当初、想定外の事態となり、
お客様からも「やはり難しいですか」と諦めに似たお声を頂いてしまいましたが、
トライや検証を行い、御満足頂ける製品を作り出すことが出来ました。
当社では難しい案件にもトライし、お客様の御要望にお応えいたします。