押出・引抜の代表欠陥について

押出し引抜の代表欠陥についてご紹介します。
1.押出品の代表的な欠陥
2.引抜品の代表的な欠陥
*以下いずれも程度により良否判定がなされ、限度を超えた場合に欠陥となります。
少しでも下記状況がみられると欠陥と見なされるわけではありません。
・ストリーク
発生原因により以下3種類に大別されます。
①ベアリングストリーク
→押出し方向に対して平行に針でひっかいたような多数の細かい線が、連続して縞状に現れたものです。(押出しのままでは判別しにくい場合もありますが、エッチングやアルマイト処理により明瞭になります。)
②オキサイドストリーク
→ビレット内部の非金属介在物が、表面に押出し方向に平行に流入したものです。(押出しのままでは判別しにくいこともありますが、エッチングやアルマイト処理を行うと、欠陥部は被膜が生成しにくいので明瞭となります。)
③ストラクチャーストリーク
→押出材の組織や組成の不均一さが原因で起こる押出し方向に現れた筋状の模様です。(エッチングやアルマイト処理によって明瞭となり、エッチング深さを変えると消えたり、幅や組織が変化する場合もあるようです。)
・ダイスマーク
ダイスのキズ又はベアリング面のキズが押出し方向に現れたものです。
・ウェルドラインⅠ
中空ダイスを使った押出しを行うと、ダイス内で分流した溶融金属が合流する部分が跡となって押出し方向に筋状に現れる現象です。
深さは表面から裏面まで貫通しています。エッチングやアルマイト処理により明瞭になります。肉眼ではストラクチャーストリークと似ていますが、合流部の筋模様はダイス構造を参照すれば区別できます。見た目変わりませんが、主な違いは筋が裏面まで貫通しているかどうかです。
・ウェルドラインⅡ
連続押出し時にビレット間の継ぎ目に相当する境界線で、円周方向に現れる筋状の模様です。エッチングやアルマイト処理によって明瞭となります。
・オレンジピール
押出材の表面に生じる荒れで、表面肌がオレンジの肌のような状態の事です。肌荒れとも言われています。押出し時に結晶粒が粗大化したために生じます。押出し後の整直の際に明瞭に現れます。
・押し込み
ベアリング出口に発生するアルミかすが表面に付着し押し込まれたものです。ダイス裏逃げ部に発生するアルミかすが押出し材に付着し、テーブル、ローラーなどで押出材中に埋め込まれたものです。
・びびり
円周方向に細かいピッチで直線状に発生した凹凸です。
肉厚が薄い場合や軟質の純アルミニウムなどに発生しやすい現象です。
・気泡
ビレット内部のガスあるいは押出過程に巻き込まれた空気が、押出時およびその後の熱処理によって膨張し、表面が膨れたものです。
押出方向に線状に連なって発生する場合が多く、肉眼でも分かります。
・焼き付き
引抜時に金型と製品が擦れてしまうことで引抜方向に線状の筋が発生してしまうことがあります。
油を塗布して引抜は行われますが、金型と製品との間にある油膜が一瞬でも無くなることで金型と擦れたり、摩擦熱で溶着し剥がれることで線状にキズが入ってしまいます。
このような問題を解決するために日本伸管では油を季節によって変えています。使用する温度により油の粘度が変わるため最適な油を使用しています。
・曲り振れ
引抜時に片方に力が偏ることで製品が曲がってしまいます。
偏る原因は製品が非対称となっている場合(素管の編肉値が悪い等)、口打ち工程で口が曲がっている、ダイスの向きが曲がっているなど様々な原因があります。
曲りを取るためにわざとダイスの向き傾かせて引き抜くこともあります。
日本伸管では熟練した技術で曲りの対策を行っております。
・チャックキズ
切断や口付けの際のチャック痕です。
・偏肉不良
基本的には押出し材の偏肉率が引き継がれる場合が多いですが、引抜くことで偏肉率を悪化させることがあります。編肉不良の対策に様々な取り組みを行っています。
・びびり
引抜方向に対して直角方向(円周方向)に発生した線状の凹凸です。
スムーズに引き抜かれなかった場合などに発生します。
・ロール矯正痕
押出材の曲がり矯正はストレッチャーで行われるのが一般的に対し、
引抜材(丸管)の曲がり矯正はロール矯正が一般的に行われます。
ロール矯正を行うと螺旋状にロールの痕が残ることがありますが、
強くロールが当たってしますと、表面に凹凸が発生してしまいます。
ロール痕を残さないように矯正するためにも熟練した技術が必要になります。
・押し込みキズ
引抜の場合には切粉や異物が製品に付着したまま引き抜かれると、それが製品に押し込まれ痕が残ってしまうことがあります。
・共ズレ(キズ)
製品をスリングで搬送する際や自動投入の際などに製品同士が接触し擦り傷が発生することがあります。日本伸管では外観の厳しい製品などには製品同士が接触しないよう搬送、自動投入できる工夫を行っております。
・電蝕
製品同士が接触したまま振動などが加わると電蝕が発生することがあります。輸送時に起こりやすく電蝕が心配される場合は梱包に工夫を行っています。
日本伸管では上記欠陥を防ぐためご紹介した事例以外にも様々な取組を行っております。
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