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2016/12/28

幾何公差について

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<目次>

 幾何公差について

  1. 幾何公差とは
  2. 幾何公差の分類
  3. データムとは
  4. 幾何公差の種類と記号

1.幾何公差とは

幾何公差とは幾何学的に正しい形状や位置などから狂ってもよい領域を数値で示したものです。寸法や寸法公差では伝えられない形状があるため、幾何公差が存在します。例えば反りについては寸法や寸法公差では指示することができません。寸法はあくまでも2点間測定なので、反りという形の崩れがどこまで許されるのか支持するためには幾何公差が必要となってきます。

2.幾何公差の分類

幾何公差には真円度や真直度などのような単独で幾何公差を指定できる単独形体の幾何公差と、平行度や直角度のような公差域を設定するために、基準になる相手(データム)に対して指定する関連形体の幾何公差があります。

幾何公差には、データムを必要としない「形状公差」と、データムを必要とする「姿勢公差」、「位置公差」「振れ公差」の4つのグループに分類できます。

3.データムとは

寸法公差領域や幾何公差領域を設定するために必要な基準となる相手をデータムと呼びます。基準が軸直線の場合、データム軸直線といい、面の場合はデータム平面といいます。

下記のように三角記号で表します。(英字の大文字を正方形で囲み、三角形の記号を指示線で結ぶ)


これは同軸度を示した公差ですが、意味するところは矢印で示した対象部の中心軸が共通データムABと同軸な直径0.03mmの円筒の範囲内でずれてもよいという要求事項になります。

4.幾何公差の種類と記号

幾何公差の種類と記号を下記にまとめました。

真直度:幾何学的に正しい直線に対してどれだけくずれても良いかを表すものです。

上の図では指示された中心線が直径0.05mmのまっすぐな円筒の範囲内になければならないことを示します。

平面度 :平面が幾何学的に正しい平面に対してどれだけ崩れてもよいかを表すものです。


上の図では、指示された面が0.1mm離れた平行な2平面の範囲内になければならないことを示します。

対象となる部分は表面全体に限定されます。

真円度:円形が幾何学的に正しい円に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

 

上の図では、任意の位置で円の形状が、半径で0.05mm離れた2つの真円間の範囲内になければならないことを示します。

対象となる部分は任意の位置の表面のみに限定されます。

円筒度:円筒形状が幾何学的に正しい円筒に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

 

上の図は、表面の円筒形状が真円かつ反りのない半径0.05mm離れた2つの円筒の範囲内になければならないことを示します。

対象となる部分は、表面全体のみに限定されます。

線の輪郭度:幾何学的な輪郭線に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

 「線の輪郭度」の画像検索結果

上の図では、任意の断面で表面の線が幾何学的なRに対しR20±0.025の範囲内になければならないことを示します。

対象となる部分は、任意の位置の表面のみに限定されます。

面の輪郭度:面が幾何学的輪郭面に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

「面の輪郭度」の画像検索結果

上の例では、指示された表面が全面に渡り幾何学的な円弧面に対しR30±0.025の範囲内になければならないことを示します。

対象となる部分は表面全体のみに限定されます。

平行度:データムに対して平行な直線又は平面に対してどれだけくずれても良いかを表すものです。

 「平行度」の画像検索結果

 

上の例では、指示された表面が、データムAと並行な0.05mm離れた2平面間の範囲になければならないことを示します。

対象となる部分は支持される状況によって中心軸や表面などに変わります。

直角度:データムに対して直角な直線又は平面に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

「直角度」の画像検索結果

上の例では、指示された表面が、データムと直角な0.05mm離れた2平面間になければならないことを示します。

対象となる部分は指示される状況によって中心軸や表面などに変わります。

傾斜度:データムに対して正確な角度を持つ直線又は平面に対してどれだけ崩れても良いかを表すものです。

 「傾斜度」の画像検索結果

上の例では、指示された表面が、データムに対して45°0.1mm離れた平行な2平面間の範囲になければならないことを示します。

対象となる部分は指示される状況によって中心軸や表面などに変わります。

位置度:データムに対して理論上正確な位置からどれだけ崩れても良いかを表すものです。

 「位置度」の画像検索結果

上の例では、データムAデータムBの順に治具などに押しあて固定し、理論寸法上中心の位置から実際の中心が直径0.08mm

以内になければならないことを示します。

対象となる部分は指示される状況によって中心軸や表面などに変わります。

同心度・同軸度:データム形体の中心に対して、指示された形体の中心がどれだけずれても良いかを表すものです。

 「同軸度」の画像検索結果

上の例では、φ12の中心軸が、データム軸線(φ8の中心軸)と同軸な直径0.03の円筒の範囲内になければならないことを示します。

板など薄い部品には同心度を使い、軸など長さのあるものには同軸度と呼び分けます。

対象となる部分は、中心軸又は中心点に限定されます。

対称度:データム形体に対して対称であるべき形体の中心線や中心平面がどれだけずれても良いかを表すものです。

 「対称度」の画像検索結果

上の例では、データム中心平面と同一平面を持つ中心にもつ0.08mm(中心面に対して±0.04mm)の平行な2平面の範囲に

指示部の中心面がなければならないことを示します。

対称となる部分は中心線又は中心平面に限定されます。

円周振れ:データム軸回りに部品を回転させたとき、指定された表面(任意の位置)でどれだけ振れても良いかを表すものです。

 「円周振れ」の画像検索結果

上の例では、データムを中心として回転させた場合、対称部の任意の位置の表面の振れが0.05mm以内でなければならないことを示します。

対称部は任意の位置の回転表面に限定されます。

全振れ:データム軸回りに部品を回転させたときに、指定された表面全体がどれだけ振れても良いか表します。

円周振れに対し、全振れは表面全体を指示します。

 「全周振れ」の画像検索結果

上の例では、データムを中心として回転させたとき、対象部の全面の振れが0.05mm以内になければならないことを示します。

対象となる部分は回転表面全体となります。

*幾何公差の定義等はご参考までにお願いいたします。

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