アルミ加工には、
などの種類があります。
軽量で強度が高く、熱伝導率に優れるアルミニウムは、製造業や商社における多様な製品の材料として広く利用されています。
このページでは、アルミ加工のメリット(アルミ特性)やアルミの種類、そして加工方法について、詳しくご紹介いたします。
アルミニウムは、さまざまな特長を持つ素材であるため、加工して利用することで、多くのメリットが期待できます。
アルミニウムの主な特性は、次の14点です。
アルミニウムの比重は2.7g。鉄(7.8)や銅(8.9)と比べると、3分の1です。
軽量化による性能向上が時代のニーズとなっている今、特に自動車、鉄道車両、航空機など輸送分野で多くのアルミニウムが使われています。
また、軽さを生かして、各種機械の高速回転部品や摺動部品の作業効率を高めたり、装置の大型化による重量増加を抑えたりなど、さまざまな効果をもたらしています。 。
アルミニウムは比強度(単位重量あたりの強度)が大きいため、輸送機器や建築物など構造材量として多く使用されています。
純アルミニウムの引張強さはあまり大きくありませんが、これにマグネシウム、マンガン、銅、けい素、亜鉛などを添加して合金にしたり、圧延・引抜などの加工や、熱処理を施したりして、強度を高めることができます。
アルミニウムは、空気中では緻密で安定な酸化皮膜を生成し、この皮膜が腐食を自然に防止します(皮膜の自己補修作用)。
耐食性をさらに高め、強度も兼ね備えたアルミ合金は、各種の用途に採用されており、特に建築、自動車、船舶、海洋開発などの分野では、この特性が大いに生かされています。
アルミニウムは塑性加工がしやすく、さまざまな形状に整形することが可能です。
また、できあがった製品素材をさらに成形加工したり、製品の表面などに精密加工を施したりすることも比較的、容易です。
加えて、切削加工性にも優れており、金型などの工具類や機械部品にも使われています。
アルミニウムは、電気伝導体として極めて経済的な金属です。
電気伝導率は、銅の約60%ですが、比重が約3分の1であり、そのため同じ重さの銅に比べても2倍もの電流を通すことができます。
現在では、高電圧の送電線の約99%に採用されるとともに、導体(板・管)などに広く使われており、エネルギー利用、エレトロニクス分野での需要が大きく伸びています。
アルミニウムは非磁性体で、磁場に影響されません。
この特徴は、アルミニウムのほかの特性である、軽い・耐食性に優れる・加工性がよいなどと組み合わせることによって、さまざまな製品に活かせます。
主な製品としては、パラボラアンテナ・船の磁気コンパスなどの計測機器・電子医療器具・メカトロニクス機器などが挙げられますが、さらにはリニアモーターカーや超電導関連機器に至るまで、その用途は大きく広がっています。
アルミニウムの熱伝導率は鉄の約3倍です。
熱をよく伝えるということは、急速に冷えるということでもあります。
そのため、冷暖房装置・エンジン部品・各種の熱交換器・ソーラーコレクター、また飲料缶にも、この特性が生かされています。
最近の高密度化した機器、システムの過熱防止のための放熱フィンやヒートシンクとしても使われています。
また、この性質を利用して、プラスチックやゴムの成形用金型などの新分野にも活用されています。
アルミニウムは、鉄鋼などとは異なり、液体窒素(‐196℃)や液体酸素(‐183℃)の極低温下でも脆性破壊が起きないのが特徴です。
低温プラントやLNG(‐162℃)のタンク材として使われる上、最近では宇宙開発やバイオテクノロジー、極低温の超伝導関連といった最先端分野でも、この特性が脚光を浴びています。
よく磨いたアルミニウムは、赤外線や紫外線などの光線、ラジオやレーダーから発する電磁波、さらに各種熱線をよく反射します。
純度の高いアルミニウムほど、この性質は優れており、純度99.8%以上のアルミニウムは放射エネルギーの90%以上を反射します。
この特性を生かしたのが暖房器の反射板・照明器具および宇宙服などで、最近ではアルミニウムに鏡面加工を施して、この特性を一層高め、ポリゴンミラーをはじめとするヒカリエレクトロニクス製品にも、よく使われています。
アルミニウムは素地のままでも美しい金属ですが、陽極酸化皮膜処理(アルマイト処理)など、さまざまな表面処理を施すことによって、より美しくなり、また、表面を硬くしたり、防食効果を高めたりすることができます。
陽極酸化皮膜処理の際に、自然発色や電解着色などによってアルミニウムに多彩な色を付けることが可能であり、建築外装や包装材などデザイン性が強く求められる分野に最適の材料です。
アルミニウムは、融点が低い・溶けた状態でも表面が酸化皮膜で覆われガスを吸収しにくい・湯流れがよいといった性質を持っています。
このため、薄肉の鋳物や、複雑な形状の鋳物を作ることができます。
アルミの鋳造品は、ピストン・シリンダーブロック・ホイールなどの自動車の部品、また、各種産業機械部品など、幅広い分野で使用されています。
溶接・ろう付け・はんだ付け・電気抵抗溶接・リベット接合・接着など、さまざまな方法で容易に信頼性の高い継手が得られます。
これらの接合技術の進歩はめざましく、より多くの分野で設計と施工の合理化を実現します。
アルミニウムを真空装置の材料に使ったとき、ガス放出率が非常に小さく真空到達性能がほかの材料に比べて、大変優れています。
そこで、各種の高真空ポンプや配管・高真空半導体装置・理化学実験装置などに活用されています。
アルミニウムは、ほかの金属と比べると酸化しにくく、融点が低いため、使用後のアルミ製品を溶かして簡単に再生することができます。
しかも、二次地金(再生地金)を作るのに必要なエネルギーは、新地金を作る場合と比べてわずか3%で済むといわれています。
また、品質的にも新地金とほとんど変わらないものが製造できるため、大変経済的な材料だといえます。
特に、飲料缶では、空缶を回収し再資源化しようというリサイクル運動が全国各地で行われており、省資源・省エネルギーを果たすとともに、地球環境保護の推進にも大変大きな役割を担っています。
このことは、今後ますます増加するアルミ需要に対する安定供給の助けになります。
アルミ製品を作る場合、主な加工方法には「プレス加工」「曲げ加工」「溶接加工」「切削加工」「研磨加工」「精密切断」「大径研磨」の7つがあります。
プレス加工は、金型を用いてアルミニウムの板や棒を成形する加工方法です。
複雑な形状の部品製造に適しており、大量生産にも対応可能です。高い生産性とコスト効率がメリットです。
プレス加工には、せん断加工(切る)、曲げ加工(曲げる)、絞り加工(絞る)の3種類があります。
曲げ加工は、プレス加工の一種で、アルミニウムを特定の角度に曲げる加工方法です。
プロファイルや筐体など、構造部品の製造に用いられます。
曲げ加工により、アルミニウムの柔軟性と延性を活かした複雑な形状の部品を生産することができます。
しかし、曲げ加工では材料の厚みや合金の種類によって加工条件を調整する必要があり、過度な曲げは材料の破損につながるリスクがあります。
溶接加工には、複数の種類がありますが、アルミニウムの溶接加工には主に、TIG(ティグ)溶接が使われます。
アルミニウムの熱伝導率が高いため、専門的な技術が求められることが多いですが、強固な接合部を実現できます。
切削加工は、切る、または削ることで成形する加工方法で、旋盤やフライス盤、マシニングセンタといった工作機械を使用してアルミニウムを加工します。
精密な部品製造に適しており、幅広い形状の実現が可能です。切削条件が品質を左右します。
研磨加工とは、表面を滑らかに仕上げ、美観を向上させる加工方法です。
特に装飾品や表示板など、外観が重要視される製品において重要な工程です。
研磨加工により、アルミニウム表面を滑らかに仕上げることができます。見た目の美しさだけでなく、耐食性の向上にも寄与します。
精密切断とは、レーザーカットやワイヤーカットといった高精度な切断方法で、正確な寸法で切り出すことができます。
アルミニウムを小さな部品や複雑な形状の切り出すのに適しています。
大径研磨とは、大きなアルミニウム製品の表面を均一かつ滑らかに仕上げるための加工技術のことです。
特に建築材料や大型の装飾品など、大面積のアルミニウム表面を美しく見せる必要がある場合に適しています。このため、装飾的な要素が求められる建築材料や芸術作品に使用されます。
これらの加工方法の中から最適な方法を選択するためには、目的とする製品の用途や、必要とされる特性、コスト効率などを考慮する必要があります。
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アルミニウムは加工性が高く、軽量であること、比較的、高い強度を持つことから、多くの産業で広く利用されています。
特に、アルミニウム合金は純アルミにさまざまな金属を添加することで、その特性をさらに向上させています。
以下で、主要なアルミニウム合金の種類とその特性を紹介します。
種類 | 合金番号 | 調質 | 熱伝導(25℃) KW/(m.℃) |
---|---|---|---|
1000系 | A1050 | ○ | 0.23 |
H18 | 0.23 | ||
A1070 | ○ | 0.23 | |
H18 | 0.23 | ||
A1100 | ○ | 0.22 | |
H19 | 0.22 | ||
2000系 | A2011 | T3 | 0.15 |
T8 | 0.17 | ||
A2014 | ○ | 0.19 | |
T4 | 0.13 | ||
T6 | 0.15 | ||
A2017 | ○ | 0.19 | |
T4 | 0.13 | ||
A2024 | ○ | 0.19 | |
T3,T4 | 0.12 | ||
T6,T81 | 0.15 | ||
A2618 | T6 | 0.15 | |
3000系 | A3003 | ○ | 0.19 |
H18 | 0.15 | ||
4000系 | A4032 | ○ | 0.15 |
T6 | 0.14 | ||
5000系 | A5052 | 平均 | 0.14 |
A5056 | ○ | 0.12 | |
H38 | 0.11 | ||
A5083 | ○ | 0.12 | |
6000系 | A6061 | ○ | 0.18 |
T4 | 0.15 | ||
T6 | 0.17 | ||
A6N01 | ○ | 0.21 | |
T5 | 0.19 | ||
T6 | 0.19 | ||
A6063 | ○ | 0.22 | |
T5 | 0.21 | ||
H6 | 0.20 | ||
7000系 | A7075 | T6 | 0.13 |
1000番系のアルミニウム合金とは、純度99%以上の純アルミのことです。
導電性や熱伝導性、耐蝕性に優れていますが、強度はほかの合金に比べて低目です。
主に電気伝導や熱伝導が求められる用途に使用されます。
2000番系は、銅を主要な添加物としたアルミニウム合金で、「ジュラルミン」とも呼ばれています。
高い強度を持ちますが、銅を添加していることで耐蝕性が低下しています。
航空機の部品や精密機械の素材として用いられることが多いです。
マンガンを添加した3000番系は、純アルミの耐蝕性を保ちつつ強度を向上させた合金です。一般的には、アルミ缶の製造などに使用されます。
4000番系ではシリコンを添加しており、耐摩耗性や耐熱性が向上しています。
溶接材料やシーリング材料などに利用されます。
マグネシウムを添加した5000番系は、耐蝕性と強度が高く、加工性にも優れています。
船舶やタンクなどの構造材料に広く使用されています。
6000番系は、マグネシウムとシリコンを添加し、中程度の強度と良好な耐蝕性、加工性を兼ね備えています。
建築材料や自動車の部品などに利用されます。
7000番系は、亜鉛とマグネシウムを添加しており、アルミニウム合金の中で最も高い強度を持つ素材です。
航空機の構造材やスポーツ用品など、高い強度が求められる用途に適しています。
アルミニウムの種類について、もっと詳しく知りたいという方は、下記ページをご覧ください。
アルミニウムはその軽量性や加工しやすさから、多くの産業で広く利用されています。
しかし、アルミの加工にはいくつかの注意点があり、これらを理解しておかないと、加工品質に影響を及ぼす可能性があります。
アルミニウムは非常に柔らかく、熱を通しやすい金属であることから、次の2点に注意が必要です。
アルミは傷が付きやすく、加工中に表面が損傷しやすいため、加工工具や条件の選定には細心の注意が必要です。
また、アルミの熱伝導率の高さは、加工中に材料全体が均一に熱くなりやすいです。
特に、溶接などの熱を利用する加工では、部材そのものが高温になり、欠陥が生じやすくなります。
「アルミの加工方法」でも、各加工方法におけるメリット、デメリットをお伝えしましたが、加工方法によっても、注意すべき点は異なります。
こうした注意点については、アルミ加工の専門知識があれば、回避できますので、当社のようなアルミ加工のプロにご相談ください。
日本伸管で過去に手がけたアルミ加工例から、いくつかピックアップしてご紹介いたします。
A社様からは、コンプレッサーのシリンダーの製造をご依頼いただきました。
現在のシリンダーでは、加工中に鋳物の「す」が発生してしまい、歩留まりがつかないという課題を抱えていたA社様。生産計画にまで影響を及ぼしていました。
また、コスト低減を図りたいという要望もあり、その両方を満たせるようなシリンダーをご希望でした。
そこで、当社では、「す」の発生に関しては、材料を鋳物材であるAC4Cから、展伸材であるA6063に変更する提案を行いました
また、コスト削減については、切削による加工から、耐久性の向上によるコスト低減が可能な引抜加工に変更し、さらに、当社独自の異型引抜技術を活用することで、ホーニング加工による内面仕上げの行程を省略することを提案しました。
材料を変更したことで、「す」の問題を解決。
また、今までの行程を大きく変更することで、全体にかかるコストの約30%の削減に成功しました。
切削ピッチが大きく影響していた耐久性も向上するなど、お客様が抱えていた問題以上にメリットをご提供することができました。
このアルミ加工例について詳しくは、こちらの詳細ページをご覧ください。
上のA社様から、コスト削減や耐久性向上の成功を評価いただき、追加でいただいたご依頼です。
コスト削減や耐久性向上を実現したA社様から、さらなる耐久性の向上を要望されました。
また、摩耗を減らすことで環境対策を図りたいとの要望もありました。
環境対策と耐久性の向上のため、さらなる硬度を持つアルマイト、超硬質クラックレスアルマイト「ウルトラハード」を利用した表面加工を行うことをご提案しました。
部品自体の長寿命化を実現することで、品質向上を図ることができるためです。
硬度、対摩耗姓、耐電圧、すべてにおいて品質の向上を図り、耐久性向上を通して、さらなる品質向上に貢献しました。
コスト削減については、引抜専業としては当社だけが実現している、引抜、加工、アルマイトによる表面処理の全行程における一貫生産体制によって、トータルでのコスト削減を図ることができました。
このアルミ加工例について詳しくは、こちらの詳細ページをご覧ください。
国立極地研究所様では、約72万年前の氷を採掘する「南極氷床掘削計画」を進めており、古い氷を採掘するのに、日本伸管が独自に製造した外管が採用されました。
国立極地研究所様では、96年に地下2,503メートル、約32万年前の氷を採取していました。
今回、さらに深く、約72万年前の氷を採掘したいとの要望がありました。
4,700ミリメートルの長さに対して曲がりが0.3ミリメートルという、一般的なアルミパイプの引抜に比べ15倍の精度を提案しました。
実際に、提案したアルミパイプの製造を実現。
軽量化されながらも強度が高まったことで、より早く、より深くまで掘削することが可能になったことで、南極3,028.52メートルから氷床コアを採取することを可能にしました。
このアルミ加工例について詳しくは、こちらの詳細ページをご覧ください。
このほか、日本伸管のアルミ加工事例をもっとご覧になりたい方は、下記リンクよりご参照ください。
日本伸管では、これまでに50年以上アルミ専門の引抜加工メーカーとして多様なユーザーニーズに対し、多様な独自の技術を用いてお応えしてきました。
ニッチなコア技術である「アルミ引抜加工」をもとに、アルミ材料の調達、アルミ加工、表面処理までアルミ製品の生産に関するすべての工程を一貫して承っております。
一貫体制により、アルミ製品の生産において万全なフォロー体制だけでなく、リードタイムの短縮、輸送コスト削減、事務管理費の削減、在庫の削減などコスト低減のご提案も可能です。
お客様のアルミ加工に関する困りごと・要望を正しく把握した上で、皆様にご満足していただけるさまざまな戦略を立て、実現いたします。