アルミの溶接加工とは、アルミ素材を強固に結合するために欠かせない重要な技術です。
軽量で耐食性に優れたアルミニウムは、多くの製造業や商社で使用されていますが、その溶接には独特の難しさがあります。
日本国内では、アルミの溶接加工の技術が進化し、多様なニーズに応えています。
この記事では、アルミの溶接加工の種類やメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
アルミの溶接加工とは、軽量で錆びにくいという特長を持つアルミニウムを接合する技術です。
鉄やステンレスと比べると溶接の難易度は高いといえます。
アルミは非常に熱伝導率が高く、溶接時には急速に熱が拡散します。
そのため、溶接部位の温度管理が非常に重要です。
また、アルミは酸化しやすく、酸化膜が溶接の妨げになることが多いです。
こうした理由から、アルミの溶接加工は難しいとされています。
このため、アルミの溶接加工には、適切な溶接技術と機材が必要です。
アルミの溶接加工は、主に準備工程、溶接工程、仕上げ工程の3つの段階に分けられます。
各工程について詳しく見ていきましょう。
まずは、アルミを溶接するために準備を整えます。
次に、実際に溶接を行います。その際、次の3点に留意が必要です。
最後に、仕上げ工程を経て、溶接は終了します。
アルミ溶接加工には主に「TIG溶接」「MIG溶接」「スポット溶接」の3種類があります。
TIG(Tungsten Inert Gas)溶接は、アルミ溶接で最も一般的に使用される方法の一つです。
不活性ガス(アルゴンまたはヘリウム)を使用して溶接部を保護し、タングステン電極を用いてアークを生成します。
高品質で精密な溶接が可能で、薄板から厚板まで幅広いアルミ素材に適用できます。
MIG(Metal Inert Gas)溶接は、アルミの自動溶接に適した方法です。
ワイヤー電極を自動的に供給し、不活性ガス(主にアルゴン)を使用して溶接部を保護します。
高速で効率的な溶接が可能なため、大量生産に適しています。
しかし、溶接品質はTIG溶接に比べてやや劣ることがあります。
スポット溶接は、アルミの薄板を接合する際に用いられる方法です。
溶接部に強力な電流を流し、一時的に局所的な溶融状態を作り出して接合します。
主に自動車の製造工程で広く利用されており、高速で多量の接合が可能です。
このほか、レーザービームを用いてアルミを溶接する「レーザー溶接」などの方法もあります。
アルミ溶接加工には、次の3つのメリットがあります。
アルミニウムはその軽量性から、溶接加工を通じて軽量な構造体を実現できます。
これにより、輸送や設置が容易になり、運用コストの削減が可能です。
溶接により、部品同士を強固に結合でき、リベットやボルトの使用が不要になります。
これにより、全体の重量を減らしつつ、構造の強度を維持できる点がメリットです。
など
アルミは溶接加工により、高強度で耐久性のある接合部を実現できます。
適切な溶接技術を用いることで、溶接部は母材と同等以上の強度を持たせることが可能です。
高負荷に耐える強固な接合部を得られるため、構造物全体の耐久性を向上させられる点がメリットです。
特に振動や衝撃を受ける部品において有効です。
アルミ溶接加工は、リベットやボルトなどの締結部品を減少させるため、材料コストの削減が可能です。
締結部品の削減により、材料費や組み立てコストを削減できる点がメリットです。
また、溶接作業の自動化により、人件費の削減と生産速度の向上が可能です。
など
アルミは溶接加工により、複雑な形状やデザインの実現が可能になります。
このため、機能的かつ美観に優れた製品を設計できます。
溶接技術を活用することで、従来の方法では困難だった形状やデザインを実現でき、製品の多様化と競争力の向上に寄与するでしょう。
など
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一方、アルミの溶接加工にもデメリットがあります。
「アルミの特性」でもお伝えした通り、アルミニウムの溶接は、その特性ゆえにほかの金属と比べて難易度が高いです。
特に以下の理由でデメリットが生じます。
最後に、アルミ溶接加工が使用される製品例をご紹介します。
アルミ溶接は、自動車部品に活用されています。
具体的には、次のようなものです。
アルミ溶接は、建築分野でも広く利用されています。
以下で具体的な使用例を示します。
家電製品の製造にもアルミ溶接が不可欠です。
具体的な使用例は、次の通りです。
アルミの溶接加工は、その特性と技術により、多くの産業分野で重要な役割を果たしています。
軽量性、耐食性、熱伝導性といったアルミの特性を最大限に活かすためには、適切な溶接技術と専門知識が必要です。
今後もアルミの新しい溶接技術の開発や自動化の進展により、さらに効率的で高品質な溶接が実現することが期待されています。
日本伸管は、アルミ溶接加工の分野で高い技術力を誇り、特に、高精度なアルミ同士の溶接にお応えします。
TIG溶接やロボットを活用したMIG溶接、肉厚2ミリの薄肉溶接の実績もあります。
また、仮圧入から溶接、ビード切削、ビード研磨、カラーチェック、仕上げ研磨までトータルで対応することも可能です。
2020年には、本社工場に新品の溶接機を導入しました。
さらに高精度、複雑な溶接にも対応可能です。
材料からのご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。